20年前のデジタル写真
日本中が長野オリンピックに湧いた
1998年。
ロンドベルは、
当時まだ世界にも数少なかった
フル・デジタル撮影を行うスタジオを
開設した。
少しずつ
世界がインターネットで繋がりはじめた時代。
スマートフォン登場まで
まだあと10年かかる、それくらいの時代。
この能面の画像は、
そんな20年前に撮られたデジタル写真。
20年の時の経過した写真だが、
データはいまでも寸分違わない。
能面 :
1998年 (石川県) LEAF社 DCB II LV [400万画素 3パス方式CCD]で撮影
プロダクトを撮影するということ
この能面がいつ撮影されたのか
この写真は伝えない。
今日のようでもあるし、
10年前のようにも考えられる。
そのように撮られた写真だから、
時間の経過を見せない写真になっている。
デジタル写真だからというわけではない。
時間を感じさせるかどうかは、
撮り方次第だ。
ロンドベルのプロダクト撮影は、
未来のいつ見たとしても、
そのプロダクトの印象が変わらないよう
意図を持って撮影されている。
はじまりはライティングの探求から
1998年、
ロンドベルのスタジオでは
すでに多重撮影を駆使した
デジタル合成撮影が行われていた。
それは現在普及したHDR撮影などの
高画質化に特化したものではなく、
正しく姿と色を残すための撮影技法だった。
※撮影システムのイメージ(後年のDCBシステム)
工業製品や芸術作品など、
プロダクトには
普段は存在を意識することのない
大小無数の複雑な構造が存在する。

シャープな金属のエッジや
表面のヘアライン加工 ーーー

工芸品の美しい色あいや
像の緻密な造形 ーーー
こうした質感や色を写真に残すためには、
何よりもまずライティングが必要となる。
見ればすぐにわかる質感や色が、
カメラのレンズを通してしまうと
失われてしまう。
ライティングなしでは。
ひとつのプロダクトは
異なる特徴を持った無数の形状で構成され、
ときには無数の素材が組み合わさってできている。
素材や形状に合わせて
必要とされるライティングも無数に存在し、
かつライティングは相互に干渉する。
すべてのものを写し出す
たった一つの正しいライティング
というのは存在しない。
成約の中で最良のものを求めるしかない。
どうしたら
プロダクトのもつ形状や色を正しく写す
ライティングができるか。
たどり着いた一つの結論が、
デジタルフィルム※での
プロダクト撮影だった。
光を作り続けた20年
” 美術品の鑑賞とか
買うもの選ぶときって、
いろんな角度から見るじゃないですか
撮影でも
撮るのは1方向からですけど、
プロダクトの無数の面に
どうやって光をあてるか
考えるんです ”
” ライティングは
それぞれの面にあわせて
角度とかあて方を変えて
光を作っていく作業です
ただやっかいなのが、
あっちに光をあてると
こっちの模様が飛んじゃう、とか
こっちにおかしな影ができた、みたいに
ライティングがお互い干渉するんです ”
” だから、
頭の中でシミュレーションしながら
実際に光をあてて試しながら、
最適解を探す作業になるんですけど
極端なこと言うと
組み合わせは無限にある
もちろんぜんぶは試せないから、
どこかで妥協しないといけない ”
” そこに、
Leafのデジタルフィルム※が出て、
これ使えばもっとライティングを
追求できるんじゃないかと
これでプロダクト撮影を
突き詰めてみようかなって、
思ったんですよね ”
” 僕が撮影でやってるのは、
プロダクトに存在する面に対して
ひとつひとつ最善のライティングで
バラバラに撮影して
それで最後に、
さも一回で撮ったかのように
破綻のないよう再合成するっていう
ただ、
普通に撮っちゃうと
合成したとき違和感が出るんで
最終形を考えながら
ライティングとかピントを合わせこんで
試してはやり直して、
そういう地味な作業の繰り返しです ”
” そこまででようやく
目で見たそのままの
モノが撮れたかな
という感じです
それを20年ずっとやってます
機材はもうすっかり変わって
今はデジカメを使ってますけど
やってることは同じ
どこまでプロダクト撮影っていうのが
突き詰められたかわからないけど、
自分で言うのもなんですが
いちおうあるラインには
来たかなと ”
” でも結局こうすれば正解
っていうのはないので、
未だに「これ厄介だな、どうしよう」って
四苦八苦しながら撮るんですけど ”
※Leaf社が製造していたデジタルカメラバック(フィルムカメラでデジタル撮影をするためのセンサーユニット)。1990年代に登場。当時はR,G,Bフィルターを切り替えながら、3回の撮影を行い現像する必要があった。
プロダクトのアーカイブ
1998年以来、
ロンドベルのスタジオでは
数万のプロダクト撮影が行われた。
設計データや通常の撮影では残らない、
その時のそのままの色、姿形を残す
プロダクトのアーカイブを作る作業。
設計から製造までが
ますますデジタル化していくからこそ、
完成した実物の記録が大切になる
美しい写真を
誰もが撮れる時代だからこそ、
本物そのままの写真が大切になる
カメラは高機能化し、
写真に求められるものも
見る媒体も大きく移り変わってきた。
しかしロンド・ベルが提供する価値は
プロダクトそのまま姿を
愚直にデータに残すという点で
変わらない。
これからも
プロダクトのその日の姿を
ていねいに残していく
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